大きくなった組織が必ず衰退するワケ
アメリカでトランプが大統領選に勝利した大きな要因の一つが、その歯に衣着せぬ自由な物言いだと言われている。
オバマ大統領が不人気だった理由も、PC(ポリティカル・コレクトネス)を重視しすぎたためだと言われており、アメリカで(おそらく世界中で)、人々が自由にものを言えない息苦しさを感じていることがうかがえる。
SNSが自由な言論を縛る
SNSは我々に自由な言論を拡散する機会を与えてくれた。
役に立つ情報やおもしろいニュース、芸能人の独り言から友人が考えていることまで、あっという間にすごいスピードで拡散していく。
最初はその素晴らしさを感じていた人々も、すぐにその息苦しさに気づいていく。
自分の言動をSNSで見ている人がどう感じているのかを気にしなければならなくなったのだ。
SNS上の友人全員が自分のことを快く思っているわけではない。
そもそも人間というものは、妬みや嫉みでドロドロの存在だ。
それに自分のことを快く思っている人ですら、自分の言動を誤解してしまうことだって十分にありうる。
そうして周りの人々の気分を害さないように気を使っているうちに、何も発言することができなくなっていく。
人気が出て多くの人が使っているSNSが廃れていくのは必然なのだ。
ミクシーが大多数の人のツールに大成長した途端、次にフェイスブックが主流になり、ミクシーは衰退し、フェイスブックの次はツイッター、今最もメジャーなのはインスタグラムなのだろう。
そしておそらくインスタグラムだって衰退するはずだ。
そしてインスタグラムに代わる新たなSNSが流行する。
大きくなった組織が衰退するワケ
会社にせよ学校にせよ、組織が大きくなりすぎると衰退するワケも同じようなものなのではないかと思う。
アットホームな組織である間はみんな自由に発言するが、組織が大きくなりすぎると途端に自由に発言ができなくなる。
5人の会議であれば割合自由に発言できるが、50人の会議ではなかなか発言しづらい。
5人の会議では、議論をうまく機能させ、いい結論を出すことに意識を向けることができるかもしれないが、50人の会議では、自分が今からする発言が自分にとってメリットになるかどうかをまず考える。
ついつい「こんなことを言ったら他の会議メンバーからバカだと思われるのではないだろうか」と考えてしまう。
もっと最悪なのは、自分の発言が誰かの気分を害してしまうことだ。
仮に自分の案がとても素晴らしいものだったとしても、新たなアイデアは新たな仕事を生み出し、その仕事は誰かが引き受けなければならない。
仕事量が増えても給料が増えない今のような会社組織の中では、素晴らしいアイデアも社員にとっては新たな負担でしかない。
大きく発展してしまった組織が衰退するのは必然なのだ。
かつてスティーブ・ジョブズは“Stay hungry, stay foolish”と言ったが、“foolish”でありつづけることは組織が生き生きし続けるためには不可欠なことなのだ。
これからのヒーローはバカであり続けることができる人間だと思う。